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初めて電話がかかってきた日の、あの胸がドキドキ高鳴る感じが忘れられない。 表示された番号は店の物で、一瞬誰か分からなかったけれど 「華絵?俺!」 その声に心臓が壊れてしまうかと思った。 電話の内容は大抵が「暇だから来い」的な営業電話だったけれど、それでも嬉しかった。 店に足繁く通って、沢山話せて…。たいした量も飲まないのに、ラストまで居座ったりもした。 さすがに何度も続くと気が引けて、 「もう帰る」 と言ったけど、彼は「もう最後まで居ろよ。ついでに片付け手伝え」と、引き止めてくれた。 私はそんな言葉ですぐに嬉しくなってしまって、いわれるがまま、彼の傍に居た。 忠実な飼い犬みたいに。
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