134人が本棚に入れています
本棚に追加
そうやって私が心を冷静に保っている姿を珍しそうに見た彼女は、机の上の煙草ケースを指すと、
「私も一本下さい」
と、微笑んだ。
「華絵ちゃんも吸うの?」
「5年前くらいに止めましたけど、昔は吸ってましたよ」
「へぇ?それこそ意外だなぁ」
ケースを渡すと彼女は細い指で煙草を挟み、少し躊躇いがちに火を付ける。
だが、軽く煙を吸い込んだだけですぐに盛大に咳き込み始めた。
「…っ!やっぱり、もう吸えないですね
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です。…とても懐かしい味がしました」
彼女は目尻を指で拭いながら、煙草を灰皿に置いた。
最初のコメントを投稿しよう!