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何だか煮え切らない気分のまま私は、バイト先である祈祷師・祇阿羅先生の家へと向った。
「あれ…?」
ところが、一昨日はあった祇阿羅先生の家が無い。
そこだけ引っこ抜いたみたいに、ポッカリと家がなくなってる。
「は?何で?」
急いで住所が書かれた、求人誌の切抜きを確認する。
「合ってる、のに…」
だけどその住所は、やっぱり何にも無い空き地になっていた。
「ええええ…」
ガッカリ、とはこういうことだ。
嵐のサインが貰えなかったことより、握手が相葉くんとしか出来なかったことよりも。
今の私にはせっかく見付けたバイト先が、いきなり消えている方がショックだった。
「嘘、何でぇ!?」
そのまま頭を抱えて、とぼとぼと自宅に帰る。
ああ…
今月の家賃払わないと、追い出されるんだっけ。
でも手元には、なけなしの5万円しか残ってなくて。
「…やっべ、どーしよ!」
何でか知らないけど、私はその場から走り出した。
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