1月11日

3/12
前へ
/121ページ
次へ
何だか煮え切らない気分のまま私は、バイト先である祈祷師・祇阿羅先生の家へと向った。 「あれ…?」 ところが、一昨日はあった祇阿羅先生の家が無い。 そこだけ引っこ抜いたみたいに、ポッカリと家がなくなってる。 「は?何で?」 急いで住所が書かれた、求人誌の切抜きを確認する。 「合ってる、のに…」 だけどその住所は、やっぱり何にも無い空き地になっていた。 「ええええ…」 ガッカリ、とはこういうことだ。 嵐のサインが貰えなかったことより、握手が相葉くんとしか出来なかったことよりも。 今の私にはせっかく見付けたバイト先が、いきなり消えている方がショックだった。 「嘘、何でぇ!?」 そのまま頭を抱えて、とぼとぼと自宅に帰る。 ああ… 今月の家賃払わないと、追い出されるんだっけ。 でも手元には、なけなしの5万円しか残ってなくて。 「…やっべ、どーしよ!」 何でか知らないけど、私はその場から走り出した。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加