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「やまあらし…か、」
倒れたアパートの玄関先で、仰向けのまま呟く。
…私、どうしたら良いんだろ。
家もない、金もない、仕事もない。
おまけに頼れる友達も居ない…
「彼氏も…、ずい分居ないなーっ」
あはは、と力なく笑う。
何だか自分が滑稽で。
でもそれは自分のせいだって、解ってんだけど…
何とかしなきゃいけないのに、全然身体が動かなくて。
「…動かないんじゃなくて、動こうとしてないんです。」
そんな情けない今の自分に、吐き捨てた。
「解ってんなら、動けよ?」
すると誰かがそう言いながら、倒れた私の顔を覗き込む。
「…何で?」
それはいつもの様に呆れた顔で私を見る、二宮くんの顔。
「暇だから。何してんだろうって、見に来た」
私の手を握って、二宮くんが起こしてくれる。
私はその力を借りて、起きて。
「ニノ…、ありがとっ」
そのまま彼に抱きついた。
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