1章 落ちこぼれの        ルイスヴェルト

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兄さんは気持ち良さそうに眠っていた。 兄さんは寝相が良い。 いつも腕を枕の下に入れて横向きに寝ている。 見ているこちらが幸せになれるほどに穏やかな表情で。 起こしづらい……それに起こしたらアレがくるし。 いや、今日は負けない! いきます!! ゆさゆさと揺らしながら 「兄さん、朝ですよ。今日は入学式なんですから早く起きて下さい」 「ん……あぁ、レイか」 ここからが勝負。 「兄さん、急がないと入学式に間に合いませんよ? 」 「何、寂しいの?」 「い、いや早くしな「解った、兄さんが一緒にねてあげるから」えッ、ちょちょっと待って!!」 揺らしていた腕を掴まれ布団の中へ。 「に、兄さん!?今日は入学式なんですよ!」 「そっか」 「『そっか』じゃなくて、早く起きましょうよ!」 ……正直まずい。 「……あったかいなぁ」 「ッ────」 只今、私は兄さんに抱きしめられています。 顔が近いし、恥ずかしい。 兄さんの抱きしめは、呼吸を妨げない適度なものなので苦しくはありません。
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