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でも、しっかりと抱きしめられていて手が動かせません。
それに足も絡めてきているので足も動かせません。
つまり、今私は全く動く事が出来ないわけです。
そ、それに下腹部に何か硬い物が当たって───
『駄目だ私!
気をしっかりもつんだ!』
頭の中で天使が言います。
『大丈夫、大丈夫。
少しくらいこのままで……』
頭の中で悪魔が言います。
『負けちゃ駄目だよ!
何のためにここにきたの!?』
『そんなの忘れちゃえ!
今が良ければいいじゃないか?』
うん……確かに今が良ければいいかも。
『兄さんのために頑張ろうよ!!』
……そうだ。入学式を遅刻したら兄さんがクラスで浮いちゃうじゃないか。
『大丈夫だって、自慢の兄さんなんだから』
悪魔が諭すように私に語り掛けてくる。
だけど、違う……それは違うと思う。自慢の兄さんだからこそ、起こさないといけないんだ!
正直……少し残念だけど。
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