1章 落ちこぼれの        ルイスヴェルト

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でも、しっかりと抱きしめられていて手が動かせません。 それに足も絡めてきているので足も動かせません。 つまり、今私は全く動く事が出来ないわけです。 そ、それに下腹部に何か硬い物が当たって─── 『駄目だ私! 気をしっかりもつんだ!』 頭の中で天使が言います。 『大丈夫、大丈夫。 少しくらいこのままで……』 頭の中で悪魔が言います。 『負けちゃ駄目だよ! 何のためにここにきたの!?』 『そんなの忘れちゃえ! 今が良ければいいじゃないか?』 うん……確かに今が良ければいいかも。 『兄さんのために頑張ろうよ!!』 ……そうだ。入学式を遅刻したら兄さんがクラスで浮いちゃうじゃないか。 『大丈夫だって、自慢の兄さんなんだから』 悪魔が諭すように私に語り掛けてくる。 だけど、違う……それは違うと思う。自慢の兄さんだからこそ、起こさないといけないんだ! 正直……少し残念だけど。
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