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「…涼を貰います。 こんな家に置いておけない。」 負けないようにと睨み返す。 「こんな家?どこか不満? 涼、ここはどんな家?」 涼の肩がビクリと震える。 しかしお母さんを見つめた瞳は 揺らぐことはなかった。 「金も地位も最初からあって、 とても裕福な家…です。」 涼のお母さんは満足そうに頷く。 「ただ」 空気が、涼の周りの空気がより 張り詰め、悲しくそうになる。 「切望していた『愛』は、一生 手に入れることは出来ない家。」 涼の言葉に涼のお母さんは 一瞬、瞳を開く。 「愛? それは、なにに役立つの?」 やっぱり、最低。 「確かに、愛は役に立たないかも しれない。 でも私たちは生きてるだけじゃ 満足出来ない。 お金や地位もほしいけど 愛が一番、なくちゃいけない。」 愛は常に与えられていなくちゃ 私たちは生きるのが辛いだけ。 .
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