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涼のお母さんは顔を歪める。 「あなたも、同じ意見なの?」 涼は頷く。 深いため息をつくと肩に かかっている髪をかきあげる。 「…愛なんて大層なものを こんな小娘に言われるなんてね。 想像もしてなかったわ。」 「…それは、どうも。」 「どこへでも行けばいいわ。」 涼はお母さんの言葉に驚いて いるようだった。 「あなた…美智さんと会って、 雰囲気が柔らかくなったわ。 …いい人と出会えたわね。」 涼のお母さんは机の引き出しを あけるとなにかを取り出す。 「あなたの家、それとあなたの お金よ。 いつでもここに帰ってきて いいから…。」 涼はそれを握りしめる。 「…今思えば、あなたをそれ程 憎んだことはなかったかも 知れません…。ありがとう。」 涼に背中を押され、私と涼は 涼のお母さんの部屋を出た。 .
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