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「最近はどう?お母さんと。」 ある日の帰り道。 「よく…電話してる。 この間は、父と麗子も、一緒に 食事…食べた。」 嬉しそうに話す涼。 私も嬉しくなる。 しかし、心配事も増えた。 「涼さま、さようなら!」 真っ赤な顔した女の子たちが 涼に挨拶をする。 涼は少しの笑みを浮かべ 「さよな、ら…。」 そう。 明るくなったのだ。 嬉しいようなそうでないような。 複雑な気持ちだ。 「…美智?」 「涼、離れていきそう。」 ポロリと零れた本音。 このまま涼はどこかの大空に 羽ばたいていきそうで。 「…離れ、ないよ。だって…俺の 片方の翼は、美智にあげたし。」 「涼…、まったくいつからそんな 恥ずかしいことを…っ!」 赤くなった顔を見られたく なくて憎まれ口を叩いて顔を そむけた。 .
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