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「あ、涼さん!」 「…那、智。」 「じゃあ今日は唐揚げかぁ。」 弟の那智は涼に懐いてる。 なんでも涼が来る日の夕食は いつもより豪華だからだ。 …うん、私も思ったよ。 「涼さん、勉強教えて!」 「…俺、でいいの? 美智とか…。」 那智は涼の言葉を聞くと私を 見下すよーな顔で。 「だって姉ちゃん、馬鹿だし。」 「ば…ばかっ!?」 「うん。」 言い返せないのが悔しい。 「…分かっ、た。」 「やった!」 那智は勉強道具を取りに行く。 「涼…。」 「ん?」 「私にも是非勉強、教えて ください。」 涼は目をぱちぱちした後、 少し笑う。 「…うん、勿論。」 「ほんと恩に着ます。」 二人で笑ったあと。 「涼さーん。 ここ、全部分からない!」 数学を持ってきた那智は。 私に似て、馬鹿だった。 .
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