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いつの間にか次の日の朝。 眠れなかった。 今日、涼は迎えに来るだろうか。 …来るわけがない。 「捨てられたんだもんなー。」 ぽつり、と呟く。 その時。 玄関のチャイムが鳴る。 …涼?! 玄関をあけると高槻さんの姿。 後ろには立派な車。 違う。 涼じゃない。 高槻さんは何か言いたそうで。 しかし。 「高槻、早くしろ。」 威厳のある声にそれは遮られた。 「は…はい、旦那様。 どうぞ…。」 後ろの扉を開ける高槻さん。 中を見ると男の人。 「…初めまして。 涼の父の謙介(ケンスケ)です。」 丁寧な言葉遣いなのに。 見下ろされている気がする。 笑った瞳なのに。 品定めをされている気がする。 嫌悪感しか感じない。 …こんな人が涼の父親? .
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