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開いた口が塞がらない。
それは母も同じようだった。
弟と父だけでも朝早く出掛けて
これを見なかったことは幸いだ。
「…おはようございます。
迎えに、来た…。」
太陽の光を浴びて高級車は
ギラギラ光る。
「…佐、久間くん。」
「涼で良い。
高槻(タカツキ)。扉。」
佐久間くんの言葉で高槻、と
呼ばれた優しそうな三十歳程の
男性の運転手さんは車の扉を
開けてくれた。
「どうぞ、松原様。」
「えと…ありがとうございます。
お母さん…後で説明するから。」
お母さんはコクコクと頷いた。
「佐久間くん。」
「…涼。」
「……涼くん。
迎えに来なくていいから。」
涼くんは首を傾げる。
「結城が言ってた。
…これ、多分、本当のはず。」
「嘘、ではないけど…。」
でも毎朝これは困るな。
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