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「あ…。」 なにか言いたいのに言葉が 出なくて。 「これが涼の彼女?」 ひょこ、と現れたのは涼の 婚約者。 「リア…、黙って。」 「ひどいわね、相変わらず。」 「…美智、来て。」 ぐいっ、と腕をひかれて。 「や…だっ。」 涼は酷く傷付いた顔をして。 なんで。 傷付いてるのは私だよ。 「馬鹿に…してるの? 今度は婚約者? …私は何だったの?」 「み…さ、と。」 「婚約者と仲良くどこへでも いけばいい。」 嘘だよ。 側にいてほしい。 「…嫌だ。」 「え?」 「美智が俺のことを嫌いでも 信じられなくても…美智は 俺の側にいさせる。」 それに、と涼は言葉を続ける。 「美智…俺の、こと、まだ すごく好き、でしよ?」 優しく微笑む涼はやっぱり。 「…大好きだよ。」 ずるいな。 悔しいな。 でもやっぱり嬉しくて。 好きなんだな。 .
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