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「…君も、もの分かりのいい子 だと思ったけどね。」 冷笑を浮かべる涼のお父さん。 「涼のお母様まで屈させたのに 物分かりがいいと思います?」 挑発的な笑みをうかべる私。 「人間はお金が絡まれば随分と 物分かりがいい動物なのだよ。」 「…美智は、違う。」 「私も昔はそう思えた相手が いたさ。 しかし所詮、まがい物だったが。」 涼の言葉に嘆息を漏らす涼の お父さん。 「それは…あなたがお金にしか 本当の価値を見出だせなかった からじゃないですか?」 「…ほぉ?」 空気が変わったのが分かった。 もはや、笑みさえ、ない。 「つまり…私の愛こそが まがい物だったと? …では涼もそうじゃないのか? 私が育てた子供だぞ。」 涼はお父さんの言葉にやっと 口を開いた。 「あんたが育てたんじゃない。 …高槻が、育ててくれたんだ。」 .
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