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「美智…行こう。 俺はもう佐久間家の涼じゃ ない。 ただの佐久間 涼だ。」 涼はそういうと、背を向ける。 窮屈に涼を閉じ込めていた 檻から、離れる。 それは。 不安で、でも嬉しくて。 「涼。」 「…ん?」 「私は…最初からただの涼が 好きだったよ?」 そう言えば。 「知ってる、よ。だから… 美智、特別、になった…んだ。」 「…これからも?」 覗き込むように涼を見ると。 わ…。 満面の笑みで。 「当たり前。」 繋いだ手は離さないで。 見つめた目は反らさないで。 気持ちは同じがいい。 我が儘になる。 それだけ、あなたが。 「好き、だよ。」 思わず涼と目を合わせる。 声が、言葉がかぶった。 「…愛、だね。」 「愛、ですね。」 涼の率直な言葉に私も照れ ながら答えた。 .
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