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はぁー。
大きなため息が目の前から
聞こえた。
涼くんは立ち止まると振り返る。
「あんたに、なんで…。」
その女の子に向けた瞳は冷たく。
酷く恐かった。
「あんたになんでそんな事、
言われなくちゃいけない。
だいたいあんたに認めてもらう
必要なんかもない。美智は俺の
彼女だ。
美智を悪く言ったら…消す。」
初めて長文を喋る涼くん。
その言葉も瞳もオーラも怖い。
「りょ…涼くん。
校舎、校舎に入ろう?」
背中を押すと涼くんは少し顔を
しかめるがすぐにいつもの
瞳に戻った。
「あと……ありがとう。」
笑うと涼くんは少し目を開く。
そして目を細め口角を
柔らかくあげた。
「笑顔…、初めて。」
綺麗な笑顔で。
嬉しそうな笑顔で。
「私も笑顔、初めて見たな。」
それが嬉しくて。
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