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―涼Side
なんだ…、こいつ。
慎也とか呼ばれた男。
美智が俺のことを彼氏だって
言った瞬間。
すごく、睨まれた。
「…なにか、文句…あるの。」
「は?」
だから睨み返す。
少し睨みあっていると美智に
背中を叩かれた。
「…なに。」
「知らない人と年上には
敬語で話しなさい!」
目を見開く。
そんなことを言われたのは
初めてだった。
叱って、くれるのは。
「…分かった。」
「ほら、じゃあ慎に謝りな。」
「…すみません、でした。」
謝りたくなんてないけど。
美智が言うなら。
よしよし、と頭を撫でられた。
それも産まれて初めてされた。
手、あたたかい。
人の手ってあたたかいんだ。
なんだか。
すごく、嬉しい。
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