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「…あーあ。ラブラブとか
やってらんねぇ。」
舌打ちをして慎也、…さんは
戻っていく。
「あ、そろそろ涼くんも教室に
戻らなきゃ。」
「美智。」
「うん?」
呼び止めたけど。
なにを言いたかったのか。
「……その…美智にも敬語?」
「良いよ。
だって、恋人でしょう?」
微笑まられると心臓が跳ねる。
「あと…お昼、一緒。」
食べたい。
この早い鼓動は何だろう。
常に両親に感じるものと
似ている、これは。
恐怖に似ている。
断られることに対しての。
他人に初めて感じた恐怖。
「良いよ。屋上で食べよ?
あ、ほら早く教室行きなー。」
あぁ。
またすごく、嬉しい。
美智は『初めて』を俺に
たくさんくれる。
大事で、好き、な人。
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