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女教師からもちょくちょく いじめられて。 ついにお昼の時間。 「じゃあ、行ってくるね!」 お弁当を持って梓と慎也に手を 振って教室を出る。 楽しみ。 無意識に階段をのぼる足が 早くなる。 扉を開けると。 「…まだ、いないかぁ。」 「いる。」 「うひゃあ!」 扉のすぐ側に座っていて涼くん。 ちらり、上目づかいで見てくる。 あ、可愛い。 「食べないの?」 「うん、食べよっか。」 涼くんはお弁当をあける。 「うわぁ…おいしそう! お母さん、料理、上手なんだぁ。」 「違う。」 「え?」 その瞳は、冷たく、哀しそうで。 「母親、忙しい。 使用人がいつも作る。 家にはいつも使用人しかいない。 知らない人、ばっかりだ。」 一瞬。 本当に泣いてしまうかと思った。 .
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