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そういえば。
涼くんの家は名家。
きっと厳しく育てられたはず。
「…私のお弁当と交換しない?」
「え?」
「たまには、ね。」
無理やり交換する。
「…おいしい。」
「本当?
私が作ってるんだー。」
「…もっとおいしくなった。」
サラリと恥ずかしい。
お弁当は食べ終わった。
けど時間があるからお喋り。
涼くんの声、落ち着く。
「ね…美智。」
「ん?」
「頭、撫でて…ほしい。」
首を傾げながら頷き、涼くんの
ふわふわの髪を撫でる。
「落ち、着く…。」
「そっか。」
「両親はこんなこと…して、
くれたこと、なかった。」
「……そっか。
じゃあ私には甘えていいよ。」
涼くんは少し照れたように。
「…うん。」
小さく頷いた。
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