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「親が厳しい、というか…
『跡取り息子の涼』以外は
どうでもいいみたいで。」
「そんな…。」
「でも、本当ですよ。
テストは常に一位。
運動でももちろん一位。
…それが、普通ってね。」
そんな完璧な人間。
いるはずもないのに。
「涼…体育で高跳びが苦手で
途中まで二位だったんですよ。
でも放課後も残ってめっちゃ
練習してて…一位。
あの親たちはそんな涼を
見てもいませんけどね。」
「…なんで、そこまで。」
そこまで涼くんは頑張るの?
結城くんは自嘲気味に笑う。
いつも明るい結城くんには
似合わない顔。
「親に嫌われたら、平気な
子供なんて…いませんよ。」
私は言葉を失ってしまった。
涼くんはいつも怖いんだ。
一位をとらなくちゃいけない。
負けちゃいけない。
何にも、誰にも。
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