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「だからあいつ。 弱いところ見せないんです。 てか…見せれないんです。 俺も見せてもらうには 三年かかっちゃいましたよ。」 はぁー、とため息をはくと その顔にはいつもの笑顔が。 「だから美智先輩はやっぱり 特別なんですよ。 …お願いですから。 付き合えないとしてもせめて 捨てないでやって下さい。」 結城くんは頭を下げる。 「うん…大丈夫だよ。」 「ありがとうございます…。 げっ!教室帰んなきゃ! じゃあ、さようならぁ。」 ぶんぶん手を振って結城くんは 階段を駆け降りていった。 同情も。 混じってないといえばそれは 嘘になるかもしれない。 でも涼くんに感じている 暖かさや、穏やかさや、 愛しさも。 確かにある。 だから。 「…大丈夫だよ。」 捨てるなんて、そんなこと。 出来ないから。 .
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