02

16/23

4527人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
終礼のとき。 廊下にあがる叫び声。 がらり、と扉をあけるのは。 「…美智。」 「りょ…涼くん?!」 無表情で涼くんは頷く。 そうじゃなくて…。 「どうした、の?」 「…迎えに、来た。」 「う…うん。 ごめん、ちょっと待ってて?」 涼くんは頷かない。 突然、教室の中に入る。 「先生… 早く、終わらせて…。」 担任の女の先生の間近に行き そう囁く。 う、わ…。 微妙に掠れたその声は 果てしなく甘く、響いて。 みるみる先生のみならず クラス中の女子の顔が赤く 染まっていく。 先生はズレた眼鏡を直す。 「あ…分かりました。 じゃあ、終わり! 佐久間君、またね。」 ハートを飛ばしまくる教師。 涼くんはこちらへと向かって きて。 「…帰ろ?」 私のかばんを持ち、それだけ 言うとスタスタ歩いていって しまった。 .
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4527人が本棚に入れています
本棚に追加