02

17/23

4527人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
かっこいい人は得だなぁ、と。 しみじみ思いながら遠くなって いく背中をおいかける。 でも。 早い、歩くの! 「りょ…涼くん!」 「…。」 呼びかけると涼くんは無言で 振り返る。 「…俺、…早かった?」 「え?うん、少し。」 「ごめん…。」 涼くんは一瞬、なにかに怯えた ような顔をする。 「え?大丈夫だよ?」 「…怒って、ない?」 結城くんの言葉が思い出される。 厳しい、自分を見てくれない親。 常にかかる、プレッシャー。 「大丈夫だよ。 怒ったり、しないよ?」 頭を撫でると。 すごい力で引っ張られた。 涼くんの胸の中に。 廊下の真ん中で。 「りょ、う…くん?」 「…わかんないけど。 すごい、抱きしめたくて…。 …美智に恋、してる…から。」 そうでしょ?と聞いてくる。 私は恥ずかしくて。 ただ俯くしかなかった。 .
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4527人が本棚に入れています
本棚に追加