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「りょ…涼くん。離してー。」
「…やだ。」
さすがに皆の視線が痛い。
「…抱き着くのは人前でやると
恋人同士の仲が悪くなるん
だってさー。」
ぼそり、と真剣な声で。
苦肉の策です。
そんな話、聞いたこともない。
いくらなんでも…。
「それ…ほんとに?」
「!うん、うん。」
「…結城と言ってた事と違う。
結城は幸せになれるって…。」
そ…それも違うけど。
「涼くんは…結城くんと私。
どっち、信じるの?」
「………美智。」
ぱっ、と私を涼くんは離す。
許して、涼くん、結城くん。
「…寂しい。」
ぽそり、と涼くんは呟く。
…ちょっと可哀相、かな。
下駄箱まで行き、一旦、別れた時
頬をかく。
でも、恥ずかしかったし。
うーん。
くつを履くと、ちょうど涼くんも
出てきた。
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