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「…美、智?」 涼くんの声に我にかえる。 今はお昼休み。 あれから慎也とは話していない。 話せるわけがない。 なんて言えばいいの? 大事な友達。 傷付けたくない。 笑いあっていたい。 私の言葉は慎也を傷付ける。 コツン、とおでこに何かが あたった。 「良かっ、た…。」 「え?」 「…熱、じゃ、ない。」 涼くんはくっつけていた おでこを離す。 「涼く、ん…。」 「…ん?」 「…私、どう、したら。」 声が震えた。 年上のくせに情けない。 涼くんは首を傾げる。 「…慎、也に…。」 「…大丈夫、だよ。」 「え?」 涼くんはサラリと私の髪を 撫でた。 「俺…いつでも、美智の、味方。」 だから、大丈夫。 涼くんの声が優しく染み込む。 .
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