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「慎也…。
ちょっと、いい?」
放課後。
涼くんには先に帰ってもらった。
慎也は気まずそうに頷く。
「なに?」
「…ごめん、なさい。」
「あぁ、告白の返事か。
別に…いいよ。
答えは分かってたから。」
慎也は少し笑う。
「用事終わった?
じゃあ、帰るわ。お幸せにー。」
ひらひらと明るい声で慎也は
手を振りながら離れていく。
「…慎也っ!ありがとう!」
何か一言、言いたくて。
慎也は歩くのを止めると
振り返りもせず。
「どーいたしましてー。」
慎也の声が少し震えていた気が
したけど。
どうすることも出来なくて。
校舎を飛び出た。
「ばぁか。
…ありがとう、のほうが
痛ぇよ。」
慎也は悔しそうに涙を一つ
零し、笑った。
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