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―涼Side
しあわせ、幸せ。
幸せってこういうことなんだ。
あたたかい、温かい。
人ってこんなにも温かいんだ。
美智と付き合えて。
一緒に帰って、手をつないで、
キスをして。
キラキラした感情ばかり。
でも。
なんだろう。
美智が慎也さんとどこかに
行ってしまったとき。
ざわり、と胸の中が波立った。
それは、何故か。
家にいるとき、親と話すときに
感じる、あの、不思議な。
悔しさでも、悲しさでも、
諦めでもない。
なんとも言えない感情に似てる。
「涼様。お帰りなさいませ。」
家につき自分の部屋に入ると
使用人の高槻がいた。
高槻は俺が子供のころから
世話をしてくれていた。
本当の親、以上に。
「…ただい、ま。」
かばんを高槻に渡すと、ベッドに
倒れ込んだ。
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