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「美智さんのことを思うなら 別れなさい。」 「な…。」 母の机の上には美智の資料。 「評判も評価も良い。 あなたのせいでその輝かしい 未来を壊したくないでしょ?」 母は微笑む。 「別になにもしないわ。 ただの…忠告よ?」 嘘だ。 拳をにぎりしめる。 「…美智に手、出したら 許しません。」 「まぁ、怖い。 私はあなたのことを思って 言っているだけなのに。」 口元を押さえ、クスクス笑う。 苛々する。 「頼んだ覚えは…ありません。」 「子供の幸せを考えるのは親の 役目でしょ?」 子供?親? 吐き気がする。 「あなたが大事にしたいのは 『佐久間』の家でしょう? あなたは俺の幸せを考えた ことなんか…ないでしょ。」 そう言って扉をしめる。 くだらない家族ごっこ。 なんて。 醜く、愚かな。 そしてその周りを走るしかない ちっぽけな俺。 .
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