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うまくいかない。 俺はただ好きな人に。 ただ側にいたいだけなのに。 なにもかも。 今までは親の言いなりでも 別に良かった。 でも、もう。 「…美、智。」 もうなにもいらない。 いっそ。 なにもかも捨ててしまえれば いいのに。 そんなことも出来ない臆病な 自分を初めて知った。 「…高槻。いる、んだろう。」 「はい?」 「俺…どうしたら、いい?」 いつも信じられなかった。 愛情を欲していた。 でも一番、側にいた親は俺を 愛してはくれなくて。 初めて注がれる愛情。 愛情を注ぎたいと思った。 「…涼様が望むように。 私は涼様の味方ですから。」 「高、槻…。」 「私は奥様でなく涼様に 仕えているつもりですよ。」 ありがとう、そう呟いて俺は 眠りについた。 .
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