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「てか…涼、我忘れすぎ。」 「…結城、だって。」 「はいはい…美智先輩のことが 大切なのは分かったから。 ほら、早く皆帰りましょ。」 パンパン、と結城くんは手を叩き 皆は帰っていく。 「じゃあ、ご自由に。」 ひらひらと結城くんは手を振る。 「…ちっ。 お前のこと少し見直した。」 梓に引きづられながら慎也は 少し気まずそうに言う。 教室の扉が閉まり、沈黙。 「びっくりしたねー。 慎也があんなこと言うなんて。」 「…うん。」 「涼?」 ぐいっ、と涼に引き寄せられる。 「…あったかい。」 「涼も温かいよ?」 「……人の温かさ、初めて。」 そっか。 ぽん、と背中を撫でてあげる。 「怪我、しないで…。 病気もしないで。 無くす、なんて…心配、 したくないよ。」 「…うん。約束、する。」 小指を出すと涼も小指を 絡ませる。 きっとこうして私たちはまた お互いに惹かれていくんだろう。 .
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