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「どーしたぁ、涼?」 「…結城か。」 「あれ?美智先輩は?」 下駄箱でたまたま会った結城の 言葉が刺さる。 「…うるさ、い。」 「え?…どーした?」 「分からない。」 「へぇ…涼でも分からない こととかあるんだ。」 結城の言葉に自嘲の笑みを 浮かべる。 「美智と…付き、合ってから 分か、らないこと…だらけ。」 「…そだな。 でも、もう全部分かるように なったんだろう? 今回も、分かるから。」 俺は静かに頷く。 朝、麗子がいた。 なにか美智に言ったのだろうか。 麗子はそんな性格じゃない。 と、思うけど。 「…昼休み、聞く。」 「それで良いんじゃん?」 ニカリ、と笑う結城。 昔、よく思った。 結城になりたい、と。 素直で、明るく、自由で。 でも今は。 俺が俺で良かった。 .
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