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「なにす…」 「そんな事、佐久間くんには 絶対言わないで下さい! 私…あの時。 佐久間くんが本当に先輩のこと 好きなんだなぁ…って。」 「木原、ちゃん?」 涙を堪えるように。 なんて、強い、女の子。 「佐久間くんがあんなに 怒ったのも、先輩の事が本当に 好きだから。 ちゃんと好きあってるのに すれ違わないで下さい! 私、先輩のこと認めたのに 佐久間くんを諦めようとやっと 思えたのに…。 無駄にしないでよっ!」 木原ちゃんの言葉に私が思わず 泣きそうになった。 苦しい、叫び。 「…うん。 ごめん、ありがとうね。」 行ってらっしゃい、と梓は手を ふる。 お昼休みはあと15分で終わる。 まだ、いますように。 私は屋上に走り出した。 「頑張ったね。」 梓が優しく木原の髪を撫でる。 ついに、防波堤が崩れるように。 彼女は泣き崩れた。 .
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