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「心配で心臓が裂けるかと 思ったじゃん!」 「裂けないと思」 「分かってるよ、馬鹿!」 涼は困ったように目をぱちくり する。 「…あんな危ないこと 二度としないでよ…? 私…絶対、許さないから!」 私の言葉を聞いた涼は しばらくしてから嬉しそうに ほほ笑んだ。 「なに、笑ってるの?」 「…嬉しい、なぁ。」 「なにが?」 涼は目を細める。 「だって、初めて、叱られた。 …心配も、初めて。」 たまに訪れる涼の普通との 大きな『ずれ』。 「…誰だって、心配はするよ?」 「そんなこと…ないよ。 『かわりはたくさんいる』が 両親の、口癖、だし。」 「私には! …私には涼のかわりはいない。」 涼はまたほほ笑んで、 嬉しい、と呟くと小さなキスを してくれた。 .
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