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でも、もう。
母に捨てられることよりも
怖いことを知ったから。
美智がいなくなること。
堪えられない。
さっき、飛び降りようとした
美智は、最後にこう言った。
独りにすると危ないから、
これからも側にいてあげる。
その言葉だけで。
俺に怖いものなんて、ない。
「…別れ、ない。」
「!お母様の言うことに
逆らうのっ?!」
「…それ、だけは、聞けない。」
麗子は今にも倒れそうなくらい
顔を青くする。
「…兄様、どうしたの?
佐久間の家に…執着、なんて
いらない感情なのに…。
…その女のせい?」
美智を睨みつける麗子。
その視線から守るように美智を
背中にかくす。
「…美智、を悪く言うな。
美智は…大事な、人だ…。」
美智は少し顔を赤く染めながら
俺の袖をつかんだ。
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