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―美智Side 嬉しい。 涼の言葉がとても。 袖を引っ張ると涼は振り返り 少しほほ笑んでくれる。 それすらも嬉しい。 「…兄様が、笑った?」 信じられないというような顔を 麗子ちゃんはする。 「美智、のおかげ…。 今の俺、は、人として生きてる。」 「ヒト?」 「綺麗、な感情も…醜い感情も 持つのが、人間…だ。」 麗子ちゃんは困惑した表情。 「お母様は…必要ない、って。 …感情なんか、完璧な人生を 狂わすだけだって。」 完璧な人生? 「…完璧な人生なんて無いよ。 だから私たちは毎日、どんどん 明日が良くなるように 頑張ってるんじゃないの?」 初めて、口をはさむ。 「…そう、だね。」 涼に頭を良い子、と撫でられた。 「あ、はは…はは。」 クスクスと麗子ちゃんは 笑い始めた。 .
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