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「なんか…兄様がこの人を 好きになったのが分かりました。 完璧な人生なんて、ない…か。」 その笑いはやがて弱々しくなり。 「じゃあそれを信じてきた私は これからなにを…信じるの?」 その戸惑いの瞳はやっぱり 昔の涼に似ていて。 「それを見つけるために 私たちは生きてるんだよ。」 救いたくなる。 「俺、の生き…る理由。 美智が、隣に、…いること。」 涼は私を優しげに見る。 なんて恥ずかしいことを! 真っ赤になっていると 麗子ちゃんは声をだして 大きく笑った。 「良いですね。幸せそうです。 まさか惚気られるとは…。 私も…いつかそうなれるかな。」 俯いた麗子の頭を涼は撫でる。 大丈夫だ、という風に。 「いろいろ迷惑かけて、本当に ごめんなさい。 あと兄様を宜しくお願いします。 じゃあ、またいつか。」 ぺこり、とお辞儀すると 麗子ちゃんは帰っていった。 .
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