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「…お邪魔しました。」 玄関で涼はお辞儀をする。 「また来なさい。」 と、父。 「目の保養になったわ。」 と、母。 「あ、写真とらしてー。」 と、弟。 涼は困ったように笑う。 「はい、じゃあ私は近くまで 送ってくるね。」 私も靴を履くと涼と外に出た。 「ごめんね。 那智とか失礼だし…。」 「ううん…。 …家族、暖かい…楽しかった。」 「そう…涼がそう言うなら 良かった。 またいつでも来てね。」 涼は頷く。 「…また、明日。」 「うん。ばいばい!」 手を振ると涼も首を傾げながら 手をゆっくり振る。 かわいーなー。 歩いた道を引き返す。 ちらり、と振り返り涼を 見ようとすれば。 涼も私を見ていて。 二人で笑ってしまった。 そんなことも小さな幸せだと 思うのだ。 .
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