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「ったく。
なんで俺がこんなこと…。」
ぶつくさ言うのは弟の那智。
「ごめんね、巻き込んで。」
私が謝ると那智は鼻を鳴らす。
「べつにー。
涼さんは将来の義兄だし。」
「ばっ…ばか。」
思わず顔が赤くなる。
涼はいきなり倒れてしまった。
すごく驚いたが、眠っているだけ
だったようだ。
一人で運べるはずもないので
那智を呼んだわけだ。
「…ちょっと、やつれた?」
私のベッドの上で眠る涼の頬を
撫でる。
規則正しい呼吸音。
その顔は少し、いや、かなり
疲れてるようにみえた。
「元気になったら…何があったか
教えてね?」
返事は返ってこない。
返事のない寂しさ。
側にいる嬉しさ。
私は涼の手を握る。
そしていつの間にか眠って
しまった。
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