私のイージス

第二歩…小学校生活

「ねぇ…『月ウサギ』ってすごいよね？」

いきなり愛がそんな話を始めた。

「え？」

学校生活中だった。

不意に自分の話題が出たので驚いたが、平静を装う。

不意打ちはさすがに自分でも驚く。

これには今後とも気をつけないとダメだ。

「『月ウサギ』って？」

まだ世間に浸透しきっていない。

私を知らない人がいてもおかしくはない。

「昨日お兄ちゃんがインターネットって言うので見てたのを教えて貰ったんだ」

愛が得意げに説明する。

「私達と同い年でＣＤデビューしてる子なんだよ」

「へぇ～…」

「すごいねぇ」

真奈美も早苗も感嘆の声を漏らす。

「愛のお兄ちゃんはなんて言ってたの？その…『月ウサギ』って子のこと」

私は全く他人のフリをして聞いた。

後で考えれば内心、自分の人気や報道のされ方、視聴者やファンからのコメントが気になっていたのかも知れない。

「今年有名になるって。歌も曲も自分で作って歌ってっていう天才なんだって」

「へぇ…」

私も感嘆の言葉を漏らす。

私の知らないことも今後聞けるかも知れない。

この情報網は大切にしようと思った。