『 プロローグ 』

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「ふぅ…」 額にかいている汗を拭いながら、雲一つ無い青空に目を向けた。 「今日は良い天気になったな」 誰かに話し掛けるわけでもなく、そう独り言を呟く。 そして、煙草を一本くわえると、火をつけ煙を肺まで吸い込み、そしてゆっくりと煙を吐き出した。 そして、傍に置いてある電波状況の悪いラジオから流れ出る音楽に耳を傾けながら、自分が腰を下ろしている周囲に目をやる。 「それにしても今回の台風は大きな置き土産を置いていってくれたもんだ…」 と、呟いた。 草木はなぎ倒され、色んな物が散乱している。そして、家の庭の前の道路にある側溝には土砂が堆積していた。 「よいしょ」 と、腰を上げ 「全く、片付けても、片付けてもキリがない」 と、ぼやきながらも、手を動かし、台風がもたらした傷跡を片付け始めた。 ラジオは音楽からニュースに変わり 「高知県西部を襲った台風…負傷者…死者…」 と、今回の台風のニュースが流れてきた。
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