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「あのぉ……」
明は膝を折ってしゃがむと、机の下の光を覗き込んだ。
「ひぃぃっっ!」
またも情けないような悲鳴が響いた。だが明は委細構わず身を乗り出す。
光は紛れもなく人間の形をしていた。今のとは明らかに違う、昔の制服姿をした、自分たちと同じぐらいの男の子だった。
今にも泣きそうに怯えた顔が歪んでいる。そして幽霊にしては脚が二本ちゃんとついている。しかし全身が判然とせずぼやけ、光子の集まりのような姿は明らかに人間ではない。
明は囁くような優しい声で、それに問い掛けた。
「君――誰?」
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