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髪の毛を染めた理由なんて別にないんだけどさ。
ただ、なんとなく。
いつだって理由はなんとなく。
今回は、そうじゃないけど。
「で、なんでコンタクト?」
亮一が聞いてきた。
理由なんかないよと言ってみたけど、これは自分にとっては大きな変化なわけで。
「最近、変わったよな」
「そうか?」
「髪色違うし」
「変?」
「似合ってる」
「そっか」
亮一はにこにこと言う。
「お前、恋してるとか?」
憎たらしいくらいの笑顔。
なんだかよくわからないけどムカつくから、亮一を殴ってやった。
「いってぇ!まぁそんな怒るなって」
「怒ってない」
でもムカついたのは、図星だったからだろう。確かに恋をしていた。
「誰に?」
「黙れよ」
亮一が自重しないから、さらにもう一発、殴ってやった。
誰にだっていいだろう。
亮一には関係ない。
と、思う。
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