あめちゃん

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  「あたしにも いっこちょうだい。」 こんなにあるんだから ひとつぐらいくれるだろうと思って 右手を差し出した。 のに 「あーかーん。」 大倉くんはにんまり笑って あたしの右手を押し返して来た。 「…大倉くんって 意外とケチなんだね。」 もーいいもんって 拗ねたそぶりを見せると 「んーと、 俺な、ほんまは 甘いもん好きちゃうねん。」 なんて言いながら あたしの顔を覗き込んできた大倉くんの顔は まだニヤニヤ笑顔のままだった。 「うそだ。だっていっつも はちみつ味のキャンディ食べてるじゃん。」 思わず反抗すると 「んー。なんて言うか、 俺が毎日はちみつの飴ちゃん食べてるのは 君のせいなんやで?」 へー ん? あたしのせい? 「なんであたしのせいなの?」 「覚えてないんかー?」 その言葉に、あたしが うーんと悩んでると 大倉くんが口を開いた。 「君、初ちゅーは はちみつ味がええって言うてたやろ?」 大倉くんの声が すっごい近くで聞こえて 大倉くんの顔が すっごい近くまできてて あ、そんなこと言ったかも。 なんて悠長に考えてる間に あたしの唇と大倉くんの唇が 触れ合った。 「いつ、君と こーゆーことになってもいいように 俺はいっつも飴ちゃん舐めてんねん。」 わかった?なんて言って 優しく笑う彼に なにがなんだか イマイチ分からないあたし。 「んも、まだ分からん?」 また近づいてくる大倉くんの笑顔。 今度は唇が触れるか触れないかの距離で 「すき。」 と、囁かれたあたしが 大倉くんに恋するのも時間の問題なんだろうな。 END おまけ→
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