序章 情報局UOW

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ACT1 リクルート  アングラー皇帝の侵略を阻止してから半年後、フォックスは父親であるジェームズマクラウドの借金について悩んでいた。もちろんペッピー及び軍や政府から報酬をもらったが到底そんなものでは借金を返すことで精いっぱいだった。グレートフォックスはというと、最近燃料の高騰により宇宙を漂っているだけでガソリン代がかかるというわけで、フォックスの提案により大きな事件があるまではグレートフォックスは車庫入りになったのである。フォックスを含めたメンバーは地道な仕事で生活費などを稼いでいた。例えばフォックスは個人タクシーの運転手、ファルコは長距離トラックの運転手、クリスタルはというと心に大きな障害を持つ人をサポートする心理カウンセラーをやっている。スリッピーは配管工、スターフォックスのお墨付きのロボットのナウスはスリッピーの父親であるベルツィーノが元々務めていた会社の『スペースダイナミック』で助手をしている。ペッピーはというとコーネリア防衛軍基地で将軍としての職務をこなしていた。皆はフォックスのために頑張っているがそれでも借金全額返済はまだまだ遠い彼方のようであった。 「あーあ、なんかスリリングな仕事ないかな?」 「君がいる限り世の中は平和だと思うよ」  休憩時間中に缶コーヒーを飲みながら一つ年下の同じ個人タクシー仲間のケニーがフォックスを見つめながら言う。猫獣人で毛が青く以前会ったキャットの仲間のクールにそっくりであった。ただ、唯一の違いは身長が低いことである。さほど気にしてなさそうだが言うのは可哀そうだとフォックスも理解していた。 「アパロイドもいなくなったしアンドルフやアングラーだっていない。タクシーだけじゃ儲からないな」 「そんなこと言うなよ、僕は君と一緒に働けて光栄だよ」 「完全に英雄扱いだな、そういえばここに仕事の依頼を申し込む時、名前を言っただけで採用係の人驚いてた」  自分のタクシーの上に座りながら車内にあった新聞を広げて読み始める。今日の主なニュースとしては『ガスステーション、謎の炎上』や『内部告発による会社の不正取引』など侵略などとは何処にも書かれてはいなかった。以前あった事件では、スポーツ選手のドーピング使用など軽いものばかりであった。アーウィンで出動なんてもうないのだろうか、と考えながらフォックスは新聞をめくる。
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