知った愛

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知った愛

葬式は次の日に 家で行われた。   たくさんの人が 悲しい顔 重い足取りで来てた。   (親父ってこんなにたくさんの人と繋がってたんだ…)   「ご愁傷様です」 「ご冥福をお祈りします」   その言葉をたくさん聞いて 葬式は終わった。     家では お袋が親父の入ってる 棺桶の前で正座していた。   後ろに俺がいるのを 知ってたのか こう話した。   「お父さんはね、酔っ払って歩いてて車道に出ちゃって轢かれたんだって…」   「おかしいよね。お父さんお酒あんまり飲めないのに」   「事故の現場にね、これが落ちてたんだって」   「一緒にお酒飲んでた人に喜びながら見せてたんだって」   「『これは俺の息子が俺の為にゲームで捕った人形なんだ』ってね…」   そう言ってお袋は あの人形を 俺に見せた。   あの変な人形を。
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