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ザァァァア……
魔法陣を抜けた先には対岸が見えないほど広大な大河が流れていた。
「………ねぇ?
何かおかしくない?」
「ええ。
何かがおかしいですね…」
みんながみんな大河を見て首をひねるか、難しい顔をしている。
「何で…せせらぎが聞こえるのに流れてないの?
何で、
…何で同じ場所を見てるのに常に変わっているのよ!?」
ティアが大河を指差し叫ぶ。
ふらり、と奏凪が大河に近づいて手を浸した。
みんなその行動を静かに見守った。
「……………っ!?」
少しの間浸したかと思うと、いきなり浸した手を引き抜き飛びすさった。
「わっ!?
いきなりどうしたのよ?」
ティアが驚いて声をかける。
「…みんなも浸してみたら判ると思います。」
ティオが首を傾げながらいわれたとおりに浸してみる。
その瞬間に脳内に流れ込んできたのは、見知らぬ誰かが恐らく家族であろう人達と楽しそうに夕食を食べる光景━━。
かと思うと今度はやはり見知らぬ戦場で見知らぬ敵と戦い、見知らぬ味方が次々と血を流しながら倒れてゆく凄惨な光景が〝視えた〟。
さらには見知らぬ草原にて人間を足元から見上げ━━。
そこで途轍もない恐怖を感じて手を引き抜いた。
「はあっ、はあっ!?
何?…今の……まるで…!?」
全身から冷や汗が吹き出し、膝が震えてまともに立つことが出来なくて、その場にへたり込んだ。
他のメンバーも皆同じような状態だった。
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