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門の中の回廊は途轍もなく広く、魔粒子が絶えず漂ってくる。
山の中に居るらしく、薄いが何よりも強力な境界が隔てる外側には外界の景色が見える。
「うわぁ~、綺麗。まるで理想郷に来たみたい」
思わず呟く。
「いつガーディアンが出て来るか判りませんから気を緩めないで下さい」
それを聞いてヒーリアが注意を促す。
「大丈夫だよ、近くに気配ないし。心配性だね」
ティアが笑う。
ひとしきり満喫したあと回廊を進んでいく。
時々小さな門があったが鍵がかかっていて開かなかった。
「何にもないね」
かなり歩いたはずなのだが一向に同じ景色しか見えない。
「何でだろ、ちょっと飛んでみてくる」
流慧が不死鳥の姿へと戻り羽ばたいていった。
それから四人でほのぼのと歩き続ける。
数時間たった頃、流慧が帰ってきた。
「みんなすぐ戦闘態勢に入った方がいい。何かでっかい鉄の塊が近付いてきてる」
さっきまでのほのぼのした雰囲気が一瞬で消え去り、それぞれの得物に手をかける。
足音を消して前進を続ける。
不意に遠くからギチギチと駆動音が聞こえてきた。
緊迫感が増しそれぞれ回廊の両側へ息を潜めた。
しばらくすると流慧の言った通り、巨大な物体が見えた。
「なっ!?
あれは古代の魔法を原動力にした拠点防衛人形!」
ここでヒーリアが天才ぶりを発揮する。
「拠点…防衛…人形?」
「そう、しかもあれは特に強い特別モデルね」
「何でそんなこと知ってるのよ」
そうこうしている間に人形はもうかなり接近していた。
「気付かないでくれると嬉しいんだけど」
遂に通り過ぎんとした瞬間ブゥン、と頭部と思わしき場所に赤い光が灯る。
「つっ、気付かれた!?」
素早く跳びすさった直後に上から巨大な剣が降ってきた。
抑揚のない合成の声が虚ろに響く。
「侵入者…発見。モードジェノサイド。殲滅を開始します」
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