第一章 光の中へ―

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コォォォォ── 月光龍の口腔内に月の光が収束し小さな珠を造り上げる。 「お姉ちゃん!! 月光龍のブレスをあいつの装甲が剥がれたところに当てて!! 私達は着弾と同時にまた連続攻撃をするよ!」 状況を読み、素早く指示を出して己もプリマ・マテリアをハンマーへと変えて構える。 奴は再び胸部に魔力を集めて撃ち出すらしく動く気配はない。 「「「「了解!!」」」」 ティアと奏凪は呪文の詠唱を始め、流慧とヒーリアはいつでも動けるように全身に力を溜めた。 魔力の装填が終わったのか人形兵器の胸部から強烈な光が漏れ出した。 ティオがわざと近付き、狙いを自らに向けさせる。 狙い通り人形兵器はティオへと狙いを定め、発射体勢に入った──。 膨大な魔力が放たれたと同時に跳躍してかわし、 「みんな、今だよ!!」 ボヒュウ、ズガァァァン!! 月光龍の放った珠が人形兵器の胸部に接触した瞬間に砕け散り魔力の爆発を引き起こした。 爆炎が止み、煙が引く前に流慧が紅蓮の翼を広げて飛び込み、渾身の力を込めた手甲の一撃を打ち込む。 ヒーリアが間髪を置かずに双剣を舞わせる。 「グラン!!爆発系の魔法を!!」 「わぁぁぁぁあ!!」 最後にティオが飛び込み、溜めに溜めたハンマーを振りかぶって…そのハンマー頭にティア、流慧、奏凪、ヒーリアの魔法が当たって爆発し、加速させた。 ベギャッ! ハンマーが人形兵器にめり込み、打ち飛ばした。人形兵器はあちらこちらに部品を撒き散らしながら、煙を上げて飛び回廊の壁に激突して沈黙した。 「ぜぇっ、ぜぇっ、何だったのよ! あの化け物の強さ!? しかもなぜか霜紋開放できなかったし! ここ何かおかしいよ!」 肩で息をしながらティアが愚痴る。 「そうだね。 私も開放できなかったし、お姉ちゃん霜紋の力使わずに月光龍なんて召喚して…下手したら魔力の使いすぎで倒れるよ?」 「ごもっともですね。 私もいつもの様に炎を操れませんでしたし」 流慧や奏凪も違和感を感じていたらしく、しきりに頷いていたが、ヒーリアだけは首を傾げていた。 「とにかく、先に進みましょう。 話はそれからです」 ヒーリアの一言で一同は再び歩き出した。
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