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それからしばらく歩いた時、唐突に奏凪が口を開いた。
「もしかしたら此処では何らかのルールに従って力が封印されるんじゃないでしょうか」
「……えっ?
な、なによ、藪から棒に」
「ですから、ここにいる全員が何らかの力の喪失を感じている。
勿論私も。
そしてこの感覚は〝根本からなくなった〟ではなく〝今も確かに存在している〟感覚です。
これらの点から封印、と考えられます。」
「成る程、ならばそのルールとは?」
「それは恐らく〝極端に力が増大する〟事ではないでしょうか?
私はさっき試しましたが龍化出来なくなりました。
そしてティアさん姉妹は霜紋開放が、流慧さんは炎を操ることが。
流慧さんは一見関係無さそうですが、あなたの場合は炎を操ることによって身体能力の上昇につながりますね。
そしてヒーリアさんの場合はそう言う事がない為に特にどうという事はない。
流石に宝具には手を出せないようですね。」
「成る程、確かに私は戦闘は全てこのグランとバスターに任せてますから」
チャキ、と少し抜いて眺めるヒーリア。
「て、何で私が戦闘をグランとバスターに任せてるって分かったんです?
私はこの二人が意志を持っているといった覚えはないですが?」
ヒーリアがかなり慌てて聞き返す。
「さっきの戦闘で剣が魔法を使ってましたから。
後は山勘です」
にっこりと笑う奏凪。
「うっ、知られたくなかったのに。
はぁ、ばれちゃったら隠す必要はないわねぇ。
この双剣はそれぞれ別々の意志を持っていて、バスターが身体強化系と幻覚系の魔法を、グランが攻撃系と回復系の魔法を使えて、ふた振り合わせて私の行動をサポートしてくれているの」
ヒーリアは苦々しい表情で白状する。
「まぁ、あくまでも仮説ですから先に進まないことには解りません。
…あら?
これは…魔法陣?」
話しながら角を曲がるといきなり目の前に魔法陣が描かれた部屋が現れた。
「終点…みたいだね?
なんだかこの程度で終わると思えないけど…」
ティアがキョロキョロと周りを見回しながら言う。
「これほど短いはずがありません。
恐らくこれは次の階層に進むものかと」
「まぁまぁ、兎にも角にも、入ってみようよ?
そうしないと進まないし」
五人は魔法陣の中へと足を踏み込んだ。
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